【IL BIGNÈ ビニエ 他】
からっとしたフィレンツェの風を感じる軽やかな<ビニエ>で味わう、心地良い口福感
シュー・クリーム。それはもっともポピュラーな洋菓子の1つですが、発祥は古く長い歴史のなか地方ごとに個性を少しずつ違えて派生しているお菓子でもあります。フランスではシュー・ア・ラ・クレーム、ドイツではクラップフェン、アメリカ他英語圏ではクリーム・パフと、呼び名も違えば作り方や味わいもそれぞれ。そしてビニエ(bigné)はイタリア版シュー・クリームの一般的な呼び名(※1)なのだそう。
駒場東大前の商店街で出会ったビニエは、これまでに私の脳内シュー・クリーム勢力図を一変させるようなインパクトで、近頃の出会いの中で最も印象的なお品の1つ。
2013年2月にOPENなさったお店で、その名もズバリ<IL BIGNÈ(イル・ビニエ)>。オーナー・パティシエの吉田谷さんが、『お菓子は甘すぎず、重たすぎず』というイタリア人師匠の教えを、忠実かつ丁寧に再現したビニエを堪能できるパスティッチェリーアです。
指で弾くとコツンコツンと音がする(その程度では割れない硬さがあるのです)厚みをもったシュー生地と、別々に提供されるフィリングは食べる直前にシュー生地に収めてもよし、ディップして食べるもよし。バターを加えず仕上げたカスタードに、ホイップした生クリームを合わせて作る口当たりが軽くなめらかなクリームは、ベタっとした後味を決して残さぬ新鮮さが印象的。シューの食感と生地からほのかに感じる塩気が、クリームと合わさって巧みなバランスを作り出し、いくつでも食べられてしまいそうな気持ちになってしまうのです……!
これを手土産にお持ちしたら、きっとその場がどんなに凍てついた空気でも和らげてしまうであろう口福感♡
季節によってエクレアやセミフレッドをサンドしたタイプが登場したり、ゼッポレ(※2)などの新製品も登場。学生街であり古くからの閑静な住宅街でもあるという表情を持ち合わせた、駒場の街の皆さんに喜んで頂けるような、お散歩のお供や日々のおやつも今後登場予定とのこと。
そして小さな焼き菓子たちが充実しているのも<IL BIGNÈ(イル・ビニエ)>さんの楽しいところ。Baci di dama(イタリア語で貴婦人のキス)と呼ばれるコロンと小ぶりなクッキーは、イタリア産の良質なヘーゼルナッツを使ったリッチな味わい。メレンゲは手に持つと驚くほど軽くエアリーという言葉がぴったり。口の中で素朴な甘みがふわっと溶け出します。他にも色々とあるのですが、焼き菓子は1個単位で購入可能。IL BIGNÈ さん用に特別にブレンドされたコーヒーと一緒に買い求めるもまた楽し。ほんとに毎日伺っても飽きないステキなお店です。
※1……フランス語では揚げ菓子をビニエと呼びますが、イタリアでは揚げドーナツ的なもの/シュー生地のような焼き、の両タイプともビニエと呼ぶようですね。
※2……南イタリアのシュー生地ベースのお菓子。現地では揚げシューやドーナツがベースだそうですがさっぱり焼き生地ベースで。ベニエより小さめでカスタードのフィリングが入り、上にアマレーナが添えられるそうですよ。
写真左: メレンゲ、ビスコッティ、バーチ・ディ・ダーマの焼き菓子。メレンゲがほんのり柔らかな黄味を帯びているのは高温で焼きあげて軽さを出しているからなんだそうです。
写真中央: お店の入り口。赤い庇と窓枠の白のコントラスト、可愛いディスプレイが目印です。
写真右: ディスプレイにも吉田谷さんのセンスがきらり。旦那様が淹れてくださるコーヒーも美味なんですよ♡
- 商品名:IL BIGNÈ ビニエ 他
- 値段:ビニエ:¥320/1個 焼き菓子各種:¥50~/1個
- フレーバー:ビニエのほか、季節の商品
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